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歯や歯ぐきを守る唾液の働き!
唾液は、食べ物の消化を助ける、味を感じさせるといった働きの他にもさまざまな働きがあります。
たとえば、食べかすを洗い流したり(洗浄作用)、むし歯菌などがつくった酸で酸性になったプラーク(歯垢)を中性に戻そうとしたり(緩衝作用)、酸で溶かされた歯のエナメル質(ハイドロキシアパタイトの結晶)をもとに戻したり(再石灰化作用)してむし歯を防いでいます。また、口の中の粘膜の乾燥を防いだり(粘膜の保護作用)、細菌の発育を妨げることにより(抗菌作用、免疫作用)歯ぐきや口の中の粘膜を守っています。
唾液は、食べ物をかんだときの刺激や味覚、視覚などによって分泌されます。ですから、よくかんで食べるということは、非常に大切です。
歯の再石灰化って何?
- 歯の構造
最近、テレビのコマーシャルなどで「再石灰化」という言葉をよく耳にされると思います。「再石灰化」とは、唾液の働きのところでも触れましたように「むし歯菌などがつくった酸で溶かされた歯のエナメル質表面の無機成分(ハイドロキシアパタイト)が、唾液などの働きで再び歯の表面に形成される現象」を言います。
食事をとると、歯の表面についたプラーク(歯垢)の中のむし歯菌が、砂糖などを利用して酸をつくります。プラーク(歯垢)の中の酸性度(pH)が概ねpH5.4以下(歯により異なります)になると、歯の表面のエナメル質の無機成分(ハイドロキシアパタイト)が溶け(脱灰といい、むし歯の始まりです)始めます。しかし、唾液の働きにより、40分から60分ほどで、歯の表面の酸性度(pH)がもとの状態(中性)に戻ります。そうすると、一度溶かされた無機成分が歯の表面にもどっていきます。これが再石灰化です。歯の表面は、常に脱灰と再石灰化を繰り返しながら、成熟(酸に溶けにくくなる)していきます。
ところが、だらだらとお菓子を食べていると、脱灰されている時間が長くなり、再石灰化の時間が短くなるため、歯の表面に穴があいてしまい、もう元には戻らなくなります。あいてしまった穴をどんなに上手につめてもらっても、再石灰化によって治った状態にはかないませんし、そのままでは、他の歯も次々とむし歯になってしまいます。
さて、この脱灰と再石灰化のバランスには、飲食の頻度や種類、ブラッシング、フッ素の利用の仕方のほか、口のなかの細菌の種類や量、唾液の性質や量など様々な要因がかかわっていますので、一度、かかりつけの歯科医で調べてもらいましょう。自分の口の中の状態をよく知って、再石灰化能力を高める工夫をすればむし歯は防げます。
歯を守るフッ化物
フッ化物は歯の再石灰化を促進したり、ハイドロキシアパタイト(エナメル質の無機成分)の結晶性を高めて酸に強い(むし歯になりにくい)歯をつくります。また、むし歯の原因になる細菌の生育を抑制したり、酸をつくるのを抑制することによりむし歯を防ぐ働きもあります。
- フッ化物洗口法
- フッ化物歯面塗布法
- フッ化物配合歯磨き剤の使用
などがあります。自分に適したフッ化物応用方法をかかりつけの歯科医に相談してみましょう。
フッ化物は萌出して間もない歯に応用したとき、最も効果が高いことから、フッ化物の利用は15歳頃までといわれてきましたが、最近では、成人の歯の根の部分のむし歯にも予防効果があるといわれています。
たばこと歯周病
喫煙者に口腔がんが多いことはよく知られていますが、最近では、喫煙が歯周病の発病と進行に大きく関与していることが分かってきました。たばこの煙に含まれるニコチンなどが歯ぐきや歯槽骨に悪影響を及ぼします。喫煙者の歯周病は、歯肉の出血や腫れなどの自覚症状は軽微ですが、歯槽骨の吸収が大きく、深い歯周ポケットがあるなど重い症状が多く、治療や手術後の予後も悪いことが特徴と言われています。
詳しくは「外部サイト:大阪府/たばこと歯科保健」をご覧ください。
「い」と「け」の違い
ほとんどの日本人は1日2回以上、歯を磨いています。しかし、むし歯や歯周病を予防するためには、歯と歯の間や歯と歯ぐきのさかい目、歯の噛み合わせなどをすみずみまできれいに磨けていなければなりません。
人によって歯の形、歯ならびや噛み合わせ、入れ歯の有無など口の中の状況は様々ですから、歯の磨き方も一人ひとり違います。かかりつけの歯科医や、歯科衛生士に自分にあった効果的な歯の磨き方を教えてもらいましょう。
詳しくは、以下のホームページをご覧ください。
歯周病と心臓血管疾患、低体重児出産、糖尿病
最近、心臓血管疾患、低体重児出産、糖尿病などの危険因子の一つとして歯周病が指摘されています。
歯周炎になると、血液の流動性の低下や動脈の硬化により血栓の形成が促進され、心筋梗塞が起こりやすくなったり、歯周病菌などが血管内に入り込み、心臓弁膜症を起こすことがあると言われています。
歯周病菌への免疫反応の結果生じる物質がインスリン抵抗性を高め、血糖コントロールを悪化させると言われていますが、歯周病の治療により、血糖値が改善したという報告もあります。一方、歯周病にかかった母親は、早産や低体重児を出産する危険性が高いと言われています。
糖尿病の人は、免疫機能や創傷治癒力の低下のため歯周病にかかりやすく、進行が早いと言われていますが、血糖値のコントロールとともに歯磨き、歯石除去などの歯科的管理を徹底すれば、歯周病リスクも下がると言われています。
かかりつけの歯科医を持ちましょう
むし歯も歯周病も最初は自覚症状はありません。ですから、普段から自分の口の中の状態を把握し、管理してもらえる「かかりつけ歯科医」を持つことが必要です。かかりつけ歯科医におけるプロフェッショナルケアと家庭でのセルフケアが、歯と歯ぐきの健康を保っていくための車の両輪です。
また、市町村保健センターや歯科医師会などでは、歯科健康診査や歯科相談、フッ化物塗布などが行われています。市町村保健センター等に問い合わせてみましょう。
歯周病があっても、なかなか気づかない人が多いのが現状です。
- 両親教室時の歯科保健指導
- 1歳6か月・3歳児歯科健康診査
- 2歳代歯科健康診査
- 保育所・幼稚園における歯科健康診断
- 就学時・学校における健康診断
- 成人歯科健康診査
- 歯の健康展
食生活、運動、睡眠、ストレス解消、禁煙も大切です
歯と歯ぐきの病気の予防には、心と体の健康が不可欠です。食生活、運動、睡眠、ストレス解消、禁煙にも心がけましょう。これらの項目もご覧ください。