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循環器病予防部門 CIRCS研究報告

<報告>海藻の摂取量と循環器疾患発症リスクとの関連

 海藻は日本を含む東アジアでよく食べられている食品です。大豆、魚、野菜、海藻、きのこ、果物を多く摂る日本人の食習慣は、脳卒中や虚血性心疾患といった循環器疾患による死亡リスクを下げるという報告があります。しかし、海藻の摂取と循環器疾患リスクとの関連は十分に検証されていません。この研究では、海藻の摂取と循環器疾患発症リスクの関連を分析しました。


 CIRCSの秋田、茨城、大阪、高知地区において、1984年から2000年までの循環器健診の時に24時間思い出し法による食事調査を行った40~79歳の男女6662人のうち、脳卒中と虚血性心疾患にかかったことのない6169人を対象に、2016年まで脳卒中、虚血性心疾患の発症を追跡しました。集団を海藻を食べた人と食べなかった人にわけ、さらに海藻を食べた人を摂取量の低い順に均等な人数で3グループ(1日当たり5.5g未満、5.5-15g、15g以上)にわけました。海藻を食べなかった人を基準として、海藻を食べた各グループの人が、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)と、虚血性心疾患それぞれに何倍なりやすいかを、男女別に比例ハザードモデルにより算出しました。年齢、Body Mass Index、喫煙、飲酒、摂取エネルギー、野菜、果物、魚介類、肉類、大豆製品、食塩摂取量を統計学的に調整しました。


 約22年の追跡期間中に、369人が脳卒中、154人が虚血性心疾患を発症しました。男性で海藻の摂取と脳卒中、特に脳梗塞発症リスク低下との関連を認めましたが、脳出血、くも膜下出血、虚血性心疾患発症リスクとの関連は認めませんでした。女性ではいずれの関連も認めませんでした。



 この研究により、日本人男性において海藻の摂取が脳卒中、特に脳梗塞の発症を予防する可能性が示されました。この研究では男性のみに関連が見られましたが、国内の他の研究では女性でも同じように関連が見られるものがあります。また、虚血性心疾患のリスク低下と関連するという研究もあります。総合的に見て、海藻摂取は男女ともに循環器疾患のリスク低下と関連する可能性が高いと言えます。

 この研究結果は、Journal of Atherosclerosis and Thrombosisという医学専門誌に公開されました。


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