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循環器病予防部門 CIRCS研究報告

<報告>筋肉量低下および腹部肥満と糖尿病有病との関連

 筋肉量が少ないこと及び腹部肥満があることは、いずれも糖尿病と関連しますが、これらの組合せと糖尿病との関連についてはこれまでわかっていませんでした。そこで、中高年の地域住民を対象として、筋肉量と腹囲の組合せと糖尿病有病との関連を検討しました。

 CIRCS研究の大阪府八尾市南高安地区及び秋田県井川町在住の40~69歳の男女で2017年から2019年に循環器健診においてInBodyによるフレイル検査を受診した1515人(男性524人、女性991人)を対象としました。InBodyによって測定した筋肉量(四肢筋肉量を体重で除したもの)と腹囲の組合せは、それぞれ男女別に二等分し、高筋肉-低腹囲群、高筋肉-高腹囲群、低筋肉-低腹囲群、低筋肉-高腹囲群の4群に分けました。糖尿病は、糖尿病治療薬の服用、空腹時血糖≧7.0mmol/l、随時血糖≧11.1mmol/l、HbA1c≧6.5%のいずれかを満たした状態としました。高筋肉-低腹囲群に対してそれ以外の群でどれくらい糖尿病有病の割合が高いかを調べるために、年齢、喫煙、飲酒、家族歴、身体活動を調整した、多変量調整オッズ比を算出しました。さらに、低筋肉と高腹囲による交互作用について、Relative Excess Risk due to Interaction(RERI)を算出しました。RERIは低筋肉と高腹囲の組み合わせの交互作用が糖尿病有病のリスクをどの程度増加させるかを示します。

 男女ともに、高筋肉-低腹囲群を基準とすると、低筋肉-高腹囲群で糖尿病有病割合が有意に高くなっていました。RERIは、男性で2.2、女性で2.8と、男女とも有意な交互作用を認めました(図)。この結果より、筋肉量低下と高腹囲の組み合わせは糖尿病有病に対して、それぞれ単独よりも強く関連していることが示されました。中年期からの腹部肥満対策だけでなく、筋肉量を保つことの重要性が示唆されました。この研究結果はJournal of Diabetesという医学専門雑誌に公表されました。



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