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循環器病予防部門 CIRCS研究報告

<報告>朝食からの栄養素等摂取と脳卒中発症リスク

 脳卒中は、脳の血管の障害により意識を失ったり手足の動きが悪くなったりなどの神経の症状を起こす病気の総称で、脳内の細い血管が破れて出血する「脳出血」と、脳の表面の血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破れる「クモ膜下出血」、脳の血管が詰まる「脳梗塞」に大別されます。脳卒中を含む脳血管疾患は、治療や経過観察などで通院している患者数が118 万人と推計され(平成26年患者調査)、介護が必要となった原因疾患の第2位であることから(平成28年国民生活基礎調査)、その予防が大切です。


 これまでの研究では、朝食摂取の頻度が脳出血の発症予防に役立つ可能性が報告されていますが、朝食の内容に関する影響は明らかにされていません。そこで、朝食におけるエネルギー及び主要栄養素の摂取と脳卒中の発症との関連を検討しました。

 本研究は、CIRCSの研究地域である大阪、秋田、茨城、高知の地域住民で、ベースライン時(1981~1990年)に脳卒中及び心疾患の既往がなく、24時間思い出し調査法を用いた食事調査に参加した40~59歳の3,248人(男性1,662人、女性1,586人)を対象として、約25年間追跡しました。食事摂取量は、朝食のエネルギー及びエネルギーを産生する主要栄養素について算出し、それぞれ四分位に分類しました。年齢、地域、他の食事因子、喫煙、飲酒、体格指数、中性脂肪、総コレステロール、収縮期血圧、降圧剤服用の有無、糖尿病の有無の影響を統計学的に考慮し、解析しました。


 脳出血の多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は、朝食からのエネルギー高摂取群は低摂取群に比べて、男性では0.38(0.15-0.99)と脳出血の発症リスクが約1/3という結果になりました(図1)。



 主要栄養素についてみると、男性で高摂取群は低摂取群に比べて、飽和脂肪酸が0.22(0.06-0.77)、一価不飽和脂肪酸が0.21 (0.05-0.86)であり、脳出血の発症リスクは約1/5という結果でした(図2)。



 本研究により、朝食からの高エネルギー摂取、特に飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸の摂取は、男性において脳出血の発症リスクを抑制する可能性が示されました。この結果は、専門誌(Journal of Atherosclerosis and Thrombosis 2018年6月)に公表されました。


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