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循環器病予防部門 CIRCS研究報告

<報告>喫煙と血管内皮機能障害との関連

 世界の喫煙による死亡者数は毎年600万に及び、そのうち心血管疾患による死亡が10%を占めると言われています。血管内皮機能は心血管疾患の発症と密接な関係があり、喫煙が血管内皮機能に対して悪影響をおよぼすことはこれまでに報告されています。しかし、地域の一般住民を対象に、喫煙習慣と血管内皮機能障害との関連を検討した研究はみられません。したがって、本研究は、喫煙習慣(喫煙状況、喫煙量、喫煙歴)と血管内皮機能障害の関連を明らかにする事を目的としました。


 CIRCS研究地域である大阪府八尾市南高安地区と秋田県井川町の30~79歳の地域住民で、2013年~2016年に循環器健診を受診し、血流依存性血管拡張反応(FMD)検査に参加した男女910名(男性517名、女性393名)を対象に、横断研究を行いました。血管内皮機能はFMD検査により計測しました。血管内皮機能障害は第1四分位数以下(FMD<5.1%)と中央値以下(FMD<6.8%)と定義し、喫煙量が40 pack-years以上を大量喫煙、喫煙期間が40年以上を長期喫煙と定義しました。喫煙習慣と血管内皮機能障害との関連を性別、年齢、地域、BMI、収縮期血圧、HDL コレステロール、non-HDL コレステロール、中性脂肪、糖尿病、飲酒状況、身体運動、降圧剤服薬、糖尿病治療薬服薬、高脂血症治療薬服薬と安静時血管径で調整しオッズ比を算出しました。


 非喫煙者は364名、過去喫煙者は342名、喫煙者は204名であり、その内、一日の喫煙本数が30本以上の喫煙者は34名、大量喫煙者は115名、長期喫煙者が78名でした。喫煙者の%FMD平均値は、非喫煙者と比べて有意に低い値でした。30本/日以上吸っている喫煙者、大量喫煙者、そして長期喫煙者で血管内皮機能障害の発生率が高い傾向が見られました。



 この研究により、地域の一般住民において、大量喫煙と長期間の喫煙は血管内皮機能障害と関連することが示されました。

 この研究結果は、Journal of Atherosclerosis and Thrombosisという医学専門雑誌に公表されました。


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